世界の医学常識(日本はガラパゴス状態の分野が多い)を知りたいとき 、参考にする先生の一人が岡田正彦先生(新潟大学医学部教授、予防医学)。
上記テーマの結論は一見センセーショナルですが、世界の信頼できる論文を多数調べた結果に基づいており、個人の感想ではないところにわたしは信用を置いています。
(本書には、日本の論文が入っていません。日本の医学論文は一部の先生を除いて、多くは世界で信用されていないと多くの先生は指摘しています。仲間内の批判をしないために信頼性に難がある、というのがその理由です)
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さて。世界の医学論文を精力的に調べた先生の調査の結論です。
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健診に関する大規模調査からさまざまなことがわかってきましたが、要約すれば以下の二点になります。(『検診で寿命は延びない』PHP新書)
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・ 病気を早期発見し早期治療しても寿命が延びることはない
- ・ 症状が出てから検査や治療を受けても寿命は同じ
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これは事実なのだろうか?? 医学の世界でも、主流でないほうに、真実の萌芽があることを思い知らされてきた。疑い深いわたしは、まゆに唾をつけながら先を読んでみました。ほんとうだとすれば、
- いま日本で喧伝されている「常識」とは正反対の内容となる。なぜ健診で寿命が延びないのでしょうか。
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「たとえ健診を定期的に受けて得することがあったとしても、同じくらいの損も同時に被るということです。これでは時間とお金をかける意味がありません。加えて、検査を受けることのストレス、結果を聞くまでに誰もが抱く「もし何かあったら!」という不安も体に悪そうです。また昨今のニュースからも明らかなように、医療トラブルに巻き込まれる可能性も覚悟しておかなければならないでしょう。(同)
- 早期発見・早期治療は、非常に有効な手段であるとさかんに奨励されています。しかし、寿命を延ばすという医学的、科学的な根拠が世界の信頼できる論文にないとすれば、われわれの日々の構えは大きく変わらざるをえません。
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これを知った友人は、頼りとした支えを急にはずされた気がする心細い、と嘆息しました。
読者のなかにもおなじ感想をお持ちの方々はすくなくないでしょう。(新型コロナウイルスでは、もちろん早期発見はできません。呼吸装置をつけても、高齢者はほとんど助からないことが判明しています(2020.5末現在)
- 症状が出てから検査や治療を受けても、寿命は延びないとすれば、われわれにできるのは、症状がでないような健康的な生活をすることしかありません。厳しいけれども、これが現実なのでしょう。
検査を受けていれば寿命が延びると信じて、適切な生活習慣を怠る。あるいは気が緩む。そのことが、かえって寿命を縮めることは確かでしょう。新型コロナウイルスに殺されないためには、適切な生活習慣をつづけるしかありません。
●ミニコラム
「健康のために煙草をやめるくらいなら、はじめから吸わなければいい」
これは先輩の鍼灸師さんが彼の師匠にこう質問したときの答えです。
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- 「煙草は健康にわるいから吸わないほうが良いのでしょうか?」と。
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- わたしはこの師匠の先生の生き方を支持します。喫煙はいまや少数派
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- 判官びいきもあるけれど、この師匠の断固とした生き方を、支持したいと思うのです。
健康は、生活を楽しむ前提として、あるのですから。下手なジョークの「健康のためなら死んでもいい」を思い出します。
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