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        茂原祥一

5歳で親子になった娘への21通の手紙DESCRIPTION based on LAW


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〜〜〜小学校時代から〜〜〜

教室で、男の子を夢中でなぐっていた「事件」

 担任がS先生だったから小学校の一年のときのこと。

 休み時間、机と机の間で友達と話していたキミは、男の子に、どけよ、と突きとばされた。

「どかなくてもさ、通るところはいくらでもあったんだよ」とキミはいった。

「それって、おかしいよね」

「なにも突きとばすことはないな」

「ただされっぱなしってさ、悔しいじゃない」

相手が男の子であり、身体も大きかったから、殴りつけた。そこまでの記憶しかないという。

……。

「気がついたらさ、馬乗りになって夢中でぶってた」

みんなが取り囲んでいたという。

キミの席は教室の中ほどなのに、気づいたときは教室の後ろだった。

「怖かったよ。仕返しされないようにさ、顔を爪で引っかいたら泣きだしたんでやめた」

一部始終を見ていたS先生は、のり子ちゃんってつよいのね、と笑っただけで、咎めなかった。

男の子の顔に三本の赤い線がついた。出血はなかったものの、親が学校から呼び出されること必至とみたキミは、その日、家にかえるや由紀さんにこのできごとを先に話していた。

「でもさ、○○ちゃん(男の子)のお母さん、偉かったよね。あのとき学校に文句言ってこなかったもんね。うちの親にも先生からなんにもなかったでしょ」

ぼくがうなずく。

【今ふり返って】

思い出話のときに「あのときさ、先にやられたからやりかえしたんだよ」とキミは言った。

「相手がさ、もし女の子だったら、わたしあのとき絶対に手なんか出さなかったよ。そのことは意識してた。男の子でも、小さい子だったら、たぶんやらなかったよ」

「でもさ、先生も○○ちゃんの親も、大人はみな良い対応をしてくれたよね」

殴りはじめるまで、状況を見極めるゆとりがあったのだね。それと、その後の夢中で記憶がとぎれたことが対照的で面白かった。

少しまえに、親にはぐれて泣き出したときのキミ。心細くて学校から一目散に帰ってきた登校初日のキミ。

親って、目の届かないところで、子供がいやな思いをさせられていやしないか、それが心配になる。その究極である、いじめ。その対象になりはしないかと、そこはかとなく心配していた。

 だから、この話を聞いたあとで、ああ、この子の性格なら、今後学校でいじめられるようなことはないな、と安堵した。そのときのほっとした記憶が強くのこっています。

 そして、この子、めっちゃ面白いやん、と頬がゆるんだときの記憶も。




〜〜〜保育園時代
おとうちゃん「事件」

親子になって間もないころ、スーパーマーケットで、きみはいきなり「おとうちゃ〜ん」と言った

〜〜〜小学校時代
気がついたら、男の子を夢中でなぐっていた「事件」
教室で友だちと話していたら突き飛ばされて……、それからは憶えていないって?

カレー「事件」
調理の時間に友だちから「わたし前からカレーつくれるよ」と自慢されたときにとったキミの対応は……。

〜〜〜中学時代
試験の数学が連続で16点だったことにカンドウ?

16点はきみにとって恥ずかしいことでも、ガッカリすることでもなかった。そのことに、ぼくは驚いて……。

試験の数学が連続で16点だったことにカンドウ?(その2)
答案を皆に見せて、「あ、おまえバカだったんだ」と男の子に言われちゃったと、楽しそうに。

わたしね、五分も勉強すると頭から煙が出てくるの
ぼくは思わず笑ったけれど……


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