なぜ病院に行っても病気が治らないのか、
人が健康で快適に生きるためには本当は何が必要なのか、
東洋医学を取り入れるならどう役立てたらよいのか・・・・・・
を纏めたのが本書である。(著者)
○私は西洋医学排斥論者ではないが、西洋医学のいけないところはハイテク医療機器や新薬で病気をやっつけようとするあまり、自分で病気を治そうとする患者さん自身の力を見くびっていることだ。だが、東洋医学ではちょっとした身体の不調を糸口に、身体の乱れた部分を治し、「よりよい身体」を作っていこうとする。治療の主役はあくまで患者さんである。
○医者はそんなには病気を治せない。内科医である私がこんなことを言うのはおかしいが、病気が治るのは大抵、身体が勝手に自分で治しているのだし、西洋医学の場合、それをバックアップする手段はあまりない。
○お灸がこのように手品みたいなことができるのも、お灸の刺激が直接作用するのではなく、「一旦脳に廻って効く」からこそ発揮される機能なのである。
○「ツボを通して脳から全身を巡るネットワークを上手く刺激してやれば、内蔵機能も調和が図られ、結果として病気や痛みが治る」という東洋医学の基本思想さえ理解していれば、一般の人でも結構自分で病気が治せてしまう。
○東洋医学は「心の不調」を治すことが得意である。心身症の人やうつ病など精神、神経疾患の人も良い経過を辿ることが多い。しかし私は、心だけを直接治療することはしない。まず身体から先に治そうとする。そうすれば薬などを使わなくても、心の不調は自然と治ってしまうからである。
○目的は「気血の巡りをよくすること」なのだから、体操はのびのびと、自由にやる方がいい。自己流多いに結構で、自由気ままに手足を動かすのが良い。
○養生の究極は詰まるところ、「欲を少なくすること」である。欲を少なく擦れば人間は健康である。
○医者に「これは老化現象ですね」と言われたら、むしろ、「そうか。病気といえる病気ではないのだな。それなら、自己治癒力を高めてやれば、自分で治せるのだ」と、張り切らなくてはいけない。
○西洋医学一辺倒の現在の医療制度をしっかり監視していただきたい。日本の医療はレベルが高い、なんていうのは嘘っぱちだ。いくら高度な診断ができても、どんな立派な理論があっても、実際に人々の苦痛を取り、病気を治し、健康にするのに役立たない医療など何の役にも立たないのである。
○「科学的根拠」(検査データ)がないと治療ができないというが、病気のすべてが科学的に解明されているわけではない。もし解明されていると考えているとしたら、西洋医学はあまりにも思い上がっている。
○西洋医学では歯が立たなかったり、患者さんにいたい思いをさせないとどうしようもない事態が、東洋医学なら即座に解決できることが多い。患者さんの身体に鍼1本刺しただけで、西洋医学を学んだ人の眼から見るとまるでマジックにしか見えないことが起きるが、事実なのだからしょうがない。
○東洋医学は「結果よければすべてよし」だ。とことん実用的なのである。それに引き換え、西洋医学は日常的な病気や慢性的な病気に関してはあまり実用的ではない。